2015年9月下旬。
3歳になって(3歳)、療育園に通う生活も落ち着き、期待していた成長がそれほどでもないと焦りだしたころ、別の診察を受ける機会に恵まれました。
たまたま読売新聞で自閉症児の連載を見たことをきっかけに、妻がその先生の新規の申し込みを何度かしてくれた結果です。
先生に初めてお会いした際、けいちゃんが自由に動いているのをただただじっと見てくれていました。
身体はぴょんぴょん機敏に動くのにこちらが言っていることをまったく意に介さない。身体と言葉のバランスがすこぶる悪いとちょっと驚かれたようでした。
当時は、お猿さんのようにソファーをぴょんぴょん動いているのに、こちらの言うことは全然意識しないことに違和感を感じなくなっていました。しゃべらなくてもなんとなくわかるので、先回りしていろいろなことをやってあげていたことに気がつきました。
診察の中で、けいちゃんがおもちゃを欲しがったときに「タッチ」をして渡すことを見せてもらいました。
何かをしてほしいという要求が見られるときに、「タッチ」と言って、こちらがかざした手にパチンとタッチをさせる。
何かが上手にできたときは、大喜びしながら「タッチ」をして褒めまくる。
そこからのスタートを、共に始めて行こうと言っていただきました。
「4歳までに言葉を出す」。具体的な目標を決まりました。
観察して仮説をたてて、その子にあった手段で現状を変えようとしてくれたことが、とても新鮮だったのを今でも覚えています。希望を感じ、すべきことができて、明るい気持ちになりました。
こちらの要求に応える。という小さな繰り返しが、少しずつけいちゃんとの関係を動かしていく大きな起点となったと思います。